本物のお酒の話

以和為貴

 日本酒は、和を大切にし、人と争わないように心がけてきた”日本人の心”を代表する酒です。
日本人は米から麹を作り、独自の方法で日本酒を造り出してきました。遥か昔の、日本酒がまだ濁酒だったころから、手酌を嫌い、勧盃や献盃として差しつ差されつ、人にすすめるという、「和」の習慣があったのです。
 これは、酔う為だけに飲む酒とは違う、「微酔い」の持続という、他の国のお酒にはみられない稀な特徴が日本酒にはあるからです。田舎の宴会などで「三日三晩飲み明かす」などという芸当ができるのも日本酒だけなのです。
 また、四季折々の自然豊かな日本においては、旬の食材が豊富にあります。日本酒は、その季節に合わせて味わいを変えて、食材に和合することで旨味を存分に引き出し、食卓や宴に華を添えていたのです。
日本酒は、四季によって味わいが変わることをご存知ですか。
 現在では一般に販売されている日本酒のほとんどは濾過したり、火入れをしたり、醸造アルコールを添加したりして、本物の醸造酒とは呼べないものになっていますから、そのような楽しみ方はできません。
 米だけから作った本物の純米酒であれば、四月頃にできる新酒は荒い酒として糀香が強く、青葉や古漬けによく合います。夏にかけて麹香がとれれば、鰹や鯵、鯖などの旬の魚に合うようになります。そして九月には「ひやおろし」といって、熟成が進んで丸みのある味と香りが楽しめる最高の状態となり、最後に、秋から冬にかけて熟成した酒は温かい鍋料理などに馴染むようになるのです。
 このように、季節に応じて食材の味を引き出すのが日本酒です。
微酔いとはやわらかな酔いが持続し綺麗に醒めることです。このような酔いを楽しめるお酒が忘れ去られ、失われていくことは、日本人の魂が無くなっていくように思えてなりません。
 連綿と培われてきた本物の日本酒の特徴を再現し、無濾過で無添加、火入れをしない生の純米酒を充分に熟成させ【現代】を織り込み「和乃醇」「特撰和乃醇」「醲献」として私どもの思いを打ち出しました。
 心地よい微酔いをお楽しみください。
 
 

まっとうな日本酒三献
 自由なスタイルで、楽しい宴に
膳